父と注文住宅

1.憧れの注文住宅

これは私ではなく私の父のお話です。
田舎の農家の次男坊だった父は大阪に出て来て必死で働きました。

何とか中年に至り、家を建てる事が出来たのですが、職住接近を望むあまり、急いでいたこともあり、手頃な分譲住宅に妥協しました。

ある程度はオーダー部分もあったようですが、全て決まったパターンからの選択だったため、散々ケチ  
とつけつつ日々暮らしていたのです。

そんなある日、突然、山中の土地を買わないかと営業さんが訪ねてきて、断念していた新築注文住宅への憧れが父の中に広がってきました。

とても田舎の方の土地だったので安く買えたようで、別荘として使うためログハウスにすると宣言し、先方の設計担当の方もかなり困ったようでした。

2,思わぬハプニング

普通の家は設計したことがあるけど、ログハウスはしたことがないという業者の担当の方と色々策を練り、楽しそうに過ごしていた父ですが、何せ山の中の土地で、かなりの傾斜地だったので、設計云々よりもまずは基礎工事が相当大変だったようです。

それでも当時生まれたばかりの私の長男のためにも、夏場過ごしやすい涼しいところで遊ばせてやりたいと言って1歳のお誕生日を2か月過ぎたころ遂にログハウスが完成しました。

3.それでも家が好き

当時はそんな家を建てる人も少なかったようで相当業者さんも困ったようですが、暖炉が欲しいというわがままな父の願いに応えて、薪ストーブを輸入してくれてかなり山小屋風になり、とても素敵な別荘になったのです。両親も私達夫婦もそして子供も大満足でした。

やはり注文建築にすると色々細かいところにまで施主の意見を聞いてくれて満足感が違うなあと改めて思ったものです。