注文住宅

I.洋館に住みたい

某町に観光施設としての洋館があります。中学生の頃、そこを見学して一目惚れし、大人になったらこの様な家に絶対住もうと思いました。

ついでに将来の進路も、建築士だと同時に決めました。設計から関われたら、絶対楽しいだろうと思ったからです。

II.建設業界の現実

建設業界ってブラックだなと思います。せっかく、建築の専門学校卒業して晴れて建築士への第1歩を踏み出したのに、休めない帰れない勉強する暇無いで、精神が擦り減るんです。でも、夢の為に、意匠建築を専門とする建築事務所での修行は、絶対無駄にならないと自らを洗脳し耐えました。

III.独立

運良く実績を上げることができ、勤め先から暖簾分けの許可を得ることができました。しばらくは古巣の下請けでしたが、数カ月後には取引先を得られる様になり、直接受注することが出来る様になりました。

それから数年後、憧れだった洋館建設の為の資金が貯まりました。

IV.候補地

事務所兼自宅として設計図を描くと、網戸が無いから虫対策がし辛い、建物の外観が目立つ、思ったより広い土地が必要、洋館を建てれるだけの技術力を持った工事会社が見当たりませでした。

分かっていましたが、資金面以外でのハードルが高いのです。それに、今の事務所の引越し先の選定を決めなければなりません。既存の取引先や新規受注のこと等々、考慮しなければいけない事が沢山ありました。

そんな中、候補地であった町の役所に、空き家バンクの利用希望者登録の募集が出ていました。これに乗らない手はないと直感し、即登録しました。

V.洋館建設

奇跡が起きたのだろうか、運良く条件に一致した空き家に当選しました。もっとも、ボロ屋なので、自力でリフォームする必要がありました。庭はあるけど畑でしたし、当初思っていた設計図を描き直す必要があり、役所と何度も交渉を重ねて設計図を完成させ、建設に漕ぎ着けました。

実際の建設では、取引先が珍しい技術を持った業者を紹介してくれました。正に奇跡と言って良いです。

VI.憧れの家と共に

「この町に貢献したい」

私は夢を叶えて素直にそう思いました。自営業は大変なので、いつ潰れるかも分かりません。しかし、どんな窮地に陥っても、どうにかなる方法は必ずあると、かつて働いた建築事務所で学びました。